ペイル・コクーンの世界

先の文章ではペイル・コクーンについても触れているが、実はこれ、土曜日に購入していて、昨夜やっと観ることができた。

ペイル・コクーン [DVD]

ペイル・コクーン [DVD]


ヒトの営みが地球の姿を一変させ、地表も海面も、人工建造物で幾重にも覆われている遠い未来。
記録発掘局に勤務する主人公ウラは、失われた人類の知識や記録を、デジタルデータの断片から復元することに生き甲斐を見出している。
しかし、彼の同僚たちは「知ったところでどうにもならない」現実*1に失望し、次々と辞めていく。 彼と親しいリコも欠勤気味であった。
そんな中、「珍しい」音声付き動画の復元を担当することになったウラ。 それを通して彼が知り、目にしたものは・・・?


ノスタルジーをかき立てる、セピア調に仕上げられた美しい映像。 その中で唯一、データから復元された過去の風景だけが色彩を放っている。
かつての地表面は遥か下層にあり、一方、上層は環境維持装置が機能しないため人は住めない。 そこから音もなく舞い降りてくる、マリンスノーのようなもの・・・。
これは一編の映像詩。
派手なアクションも胸のすく大団円もないが、映像の美しさとSF的テクノロジーの描写が「2001年宇宙の旅」のようなテイストを醸し出している。
ストーリーはやや難解で、人によっては退屈に思えるだろうから、万人向きとは言えない。 やや前衛的な作品でも受け入れられる人にはお薦め。 価格は一般的なTVA/OVAよりは低めに設定されている。


P.S.
主人公が冒頭で復元した過去の風景写真は・・・釧路湿原に良く似ている。

*1:知るほどに明らかになる、環境破壊という愚行