ニコンがキヤノンに圧勝したことになってますが…

アニメツーリズムのレポートを詳しく報道してくれたITmediaですが、今回のカメラ関係の記事は微妙。

ある雑誌の調査によると、歴代カメラの中で読者が選ぶベストカメラはニコンが上位を独占した。もちろんキヤノンのカメラは売れているだが、なぜニコンの機種が好まれているのか? その背景にはキヤノンの戦略ミスがあったのかもしれない。

山崎元の時事日想:一眼レフ市場のニコンVS. キヤノン――なぜキヤノンは“圧勝”できなかったのか? (1/3) - ITmedia ビジネスオンライン

いやいやいや。 ニコンのカメラが高性能なのは全くもってその通りなのですが、キヤノンのカメラも遜色ないですよ。 なのにこんなに大差がついたのは、要するに母集団に偏りがあったってことでしょう。

『アサヒカメラ』の読者というと、写真好きかカメラマニアかのいずれかであり、平均的なカメラユーザーよりもかなりカメラに詳しいことは間違いない。

それは何も「アサヒカメラ」に限ったことではないですね。 カメラ雑誌を買って読む人は、まず写真好きかカメラマニアでしょう。 「アサヒカメラ」読者特有の傾向としては、ご年輩の方が多そうな気がします。 しかも、いかにも一家言持っていそうな方が。 同じ人気投票をCAPAでやったら、かなり違った結果になったと思いますよ。

年輩者は伝統あるニコンに惹かれ、若者は最新技術満載のキヤノンに惹かれる傾向がある、ってのが私の持ってる印象なので、アサヒカメラ誌上の結果がニコン圧勝なら、まぁ「宜なるかな」って感じではありますが。


ただし、キヤノンが人気を落とす理由があるとしたら、「レンズマウントの変更」が挙げられるかも知れません。
私はA-1ユーザですが、これに採用されているFDマウントはとうの昔にEFマウントに代替わりしています。 両者に互換性は全くなく、交換レンズを揃えたくても中古市場でしか入手できません。 当然、ボディを買い換えればレンズも一式買い直す羽目になります。 私がなかなかデジタル一眼へ移行できないのは、そういう事情があるからです。
対してニコンは、50年近く同じマウントを採用し続けています。
実際は機械的寸法が変わらないだけで、互換性に関してはかなり犠牲になっている部分があるようですが、キヤノンの場合、FDレンズになる前にも一度大きなマウント変更をやったらしく、私がA-1を購入した当時も、一部ファンの怨嗟の声が耳に入ってきました。 どうもキヤノンには、イノベーションのためならユーザをバッサリ切り捨てても止む無しとする風潮があるようで、何だか昨今の派遣労働者切り問題と重なって見えてしまいます。


ま、そうは言っても、EOS5D Mark IIが欲しい私なのでした。

骨の髄までキヤノン党…。

追記(2009年3月29日)

寝ぼけ眼で書いた、推敲も不十分なエントリだったので、書き足そうと思っていたのですが…。

言いたいことは、全てこの方に語り尽くされていました。
ITmediaの元記事の分析はそれなりに興味深く、「そういう部分もあるかもなぁ」と思わせる内容ではありましたが、そもそも出発点が「読者層に偏りがあるカメラ誌の、しかも無作為抽出したわけでもないアンケート結果」ですから、着地点が何かズレてる感じがするのです。
その上、上記ブログでも指摘されていますが、

非球面レンズって言う部分、「非球面レンズ(平面ではなく曲面からできているレンズ)」などと書いている

http://pub.ne.jp/kanapi/?entry_id=2045904

なんて記述がありました(その後削除されています)から、更に説得力が下がった感じです。
アサヒカメラの元記事は「ニコン党が溜飲を下げるための記事」でしょうから、そういう結果になるのは仕方がないでしょう。 ただそれを「公正・客観的な調査結果」のように捉えてしまったのは、ちょっとまずかったですね。