BD-BOX制作決定に寄せて(昨日の続き)

思い返せば2年前、初放映直前まではこの作品、私の知る限り(失礼ながら)まったく話題にはなっていませんでした。
そんな中、第1話でオープニングにハッとさせられ(特にタイトルロゴに腰掛け、或いはもたれかかるヒロインたちがスーッと消えゆくシーン)、第2話で描かれる比呂美の葛藤によって作品の方向性がおぼろげながら分かってくると、もう夢中。
極めつけは第2話のラスト、深々と詫びる比呂美の肩に掛かった髪がハラリと垂れ落ちるシーン。 これを観て、こんな細かい描写まで盛り込むなんて「この制作スタジオは本気だ!」と確信しましたよ。 ですから、

今期、私が最も注目している作品。

true tears 第2話「私…何がしたいの…」 - しまうま技研

と、本作について初めて触れた上記エントリでこう書いたのは、その時点での最大級の賛辞を送ったつもりだったのです。
そして、P.A.WORKSが富山・城端にあることを知るともう居ても立ってもいられなくなり、急遽現地へ向かった訳です。 当時はモデル地情報もあまり出揃ってはおらず(作中風景の多くが城端をモデルにしていることを知るのは、もう少し後のこと)、ただ純粋に「本気の制作スタジオ」を見てみたい、という思いからの行動でした。 とにかく、あんなにワクワクしたのは「未来少年コナン」第24話「ギガント」を観て以来だったかも知れません。


以来、地元紙や南砺市の広報をはじめ、雑誌やネットなどで本作や制作スタジオが取り上げられる度、我が事のように喜んでおりました。 私が素晴らしいと感じたものを、他の多くの人(特にアニメ関係の同業者)も認めてくれている…このことが、この上なく嬉しかった。 しかも、それが2年を経た今も脈々と続いていることに、喜びとともに驚きを禁じ得ません。
これは、制作サイドにしてみれば尚更でしょう。 P.A.WORKSの堀川社長は、公式ブログに寄せてこう思いを綴っています。

この作品は、P.A.WORKSが今後も真摯に作品を作り続けていれば、いつかは認められて、遡って手にとってもらえる作品だと信じていたんですね。だから頑張って作品を作り続けようと。それが今回みなさんの応援でBlu-ray BOX化が実現して、『true tears』はちゃんと評価されていた、僕たちは間違っていなかったんだと分って、単純に嬉しくて、今後の作品作りの自信にもなりました。

http://truetears.seesaa.net/archives/20100101-1.html

宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」といった人気作品も、初放映時の視聴率は芳しくありませんでした。 今も人々の記憶に残る名作だって、最初はそんなもんです。 さて、"true tears"はどうでしょうか?

永谷さん:

もともとこの作品を作る際、「10年先に残るものを作りましょう」というコンセプトを掲げていました。

http://meister.blu-raydisc.com/jp/blulog/cat8.php#000457

こういう意気込みで制作された作品ですし、私は初見時以来「これは語り継がれる作品」と信じています。


この作品のBlu-ray BOX化決定は、ひとつの成功事例と言えましょう。
視聴者の関心を惹くためネタに走る作品が多い昨今、それが悪いとは言いませんが(私が気に入っている「キディ・ガーランド」なんて、その最たるもののひとつ)、本作のように、視聴者の期待をいい意味で裏切るような作品がもう少しあってもいいような気がします。 > アニメ業界関係者の皆様


最後になりましたが、Blu-ray BOX化の最大の功労者のひとり、ABIさんの労を労いたいと思います。
本当はスーパーエンジニアらしいのに、気負わない(軽すぎる?)文体で飄々とブログを綴るABIさん。 彼が行動を起こさなければ、BD化は何年も先になっていたかも知れません。 一時は企画が立ち消えになってしまうのではないかとハラハラしましたが…(笑)
他ならぬABIさん自身が"true tears"のファンだったことが、この企画を推進する大きな原動力だったのでしょう。
企画が噂されている次なるイベントがもしあるなら、そしてそこに参加することが出来たなら、直接会ってお礼を述べたいと思います。
まずは、お疲れさまでした。