さて、TVA「キディ・ガーランド」について語ろうか

true tears以降、殆どアニメ感想を書かなくなってしまいましたが、本作は久々に語りたくなってしまう作品。
そのうち何か書こうと思っていたところ、こんなサイトを見つけました。

#544「キディガーランド」チャット

電視の部屋

仲間内でやってる感じなので紹介して良いものか少し迷いましたが、アクセス制限なくオープンされているものだし、内容は至って真面目なので問題なかろうと判断しました。 ここで交わされた議論に後から乗っかる感じで、思うところを述べてみたいと思います。(私はこの作品のファンなので、恐らく擁護調になると思われます)
因みに、引用元の皆さんと私はお互い全く面識はありませんが、先方は私のブログをよくご存じのようで、ある点において一定の評価をして下さっているようです。 一方の私も、時々私のブログが引き合いに出されていることは存じておりました。
以下、引用部分は全て前述のサイトからのものです。

ルイ >> 井汲さんのグレイド初期の雑感を読んだ限りでは、同様に「掴みは媚びておいて、ハードSFやります」の構成を組んでいるように思います。kichiさんが井汲さんの感想を読んで同じものを感じたか、井汲さん自身の言質が欲しいですが。
(中略)
kichi >> ああ、なのかもとはちょっと思ったかもですね。なんとなく、ガーランドよりはハードだったんじゃないかと想像してるのですが……。
(中略)
ルイ >> >ガーランドよりはハード どうでしょうね。ガーランドも後半だけ取ればハードになりそうな気もします。

私は前作にあたる「キディ・グレイド」を観ていないのですが、確かに「ネタで掴んで、シリアス展開」を狙っているのだろうと思います。 実際、#4「子守特務」で強敵(サフィル&リュビス)が現れ以後のシリアス展開を匂わせ、#7「憧れの2人」から本格的に敵と対峙し始めてますから。 特に#9「記念式典」では多大な犠牲が出て、一気に沈鬱な雰囲気になりました。 その後、またちょっとおちゃらけムードに戻っちゃう訳ですが…。
なお「ハードSF」とおっしゃられていますが、それは私の理解では「科学考証を中心に据えたSF」なのでちょっと…いや、かなり違いますね。 Wikipediaでも同様の説明がなされています。

ルイ >> kichiさんは、現行の構成や各話脚本に何か不満がありますか?
(中略)
kichi >> 不満はたくさんありますね。まぁ、この前“地力”と書いたように、話の方向というよりは地盤固めのような部分での不満なのですが……。
ルイ >> ふむ>地盤固め 例えばSF関連の説明というか話への溶け込ませ方が不足していたり、感情の積み上げをしないでその分パロディネタでまわしたりしたことですね。
(中略)
kichi >> そうですね。>SF関連の説明とか感情の積み上げ

「ハードSF」だとは思ってないのでSF関連の説明(科学考証)には元々期待していませんが、確かに「感情の積み上げ」はもう少しあった方が良いかな、と思える部分はありました。
例えば、トリクシー&トロワジェインとの親交をもう少し描いておけば、アスクール&ク・フィーユが、彼女たちの死後もなお慕い続ける描写がより一層引き立ったのではないかと思います。 #9で彼女たちが絶命するシーン、今際の際なのに長いセリフを喋らせたのは、ひょっとすると親交描写の不足分を、それでカバーしようとしたものかも知れません。

ルイ >> それは僕らが「ガーランド」の前半しか観てないから、というのがあるかもしれませんよ?今後のガーランドがマジ比重高くなっていったら、おそらくそれがグレイドの轍という気もする。・・・・・・つまり今kichiさんが「ユルイ」といいましたが、ユルさとハードさの連結が相当唐突なんですよね。そこは落差の面白さを生む部分ではあるんだけど・・・過ぎると話が繋がらないというか、ワンテンポ空く。
(中略)
kichi >> はい。そういう方法論レベルの話で言えば同様な作品であるんだろうとは思います。ただ、美少女で釣るにしてもアスクールのキャラはハードSFにはそぐわないんじゃ……?という気分もありますね。まぁ、これも脚本次第ではあるんですけど、現状ハードSFに馴染んでいきそうに思えない描かれ方なので……。

ユルさとハードさ(ここは「シリアスさ」と言った方がしっくりきます)の連結が唐突だという指摘には同意。
でもこれは、既存の枠に囚われない斬新な構成を試そうとして、結果として(やや)上手く行ってない感じかな。
アスクールがシリアス展開にそぐわないのでは?という疑問も、やはり模索の結果なのではないかと。
ただし最新話(#15)のBパートでは、アスクールの陰の部分も見えてきます。 内田彩嬢の好演もあって、シリアスなシチュエーションでも不自然な感じはしませんでした。

ルイ >> トップはOVAだから詰め詰めなんですが、例えば3話にいくまでにTVシリーズで余裕があるならほのぼのエピも組むかもね。でもその中でも世界観は描くだろうね、って印象ですね。>トップ とにかく、最初の「掴み」がマズイ。
kichi >> え〜と、8話までも当然と言っていいくらい良かったとは思ってないんですけど、ルイさんが特にどこを問題としてるのかまだちょっとよく分かってないのですが……。
ルイ >> 別にあるあるネタやパロディをだからダメ、とは言いたくないのだけれど、8話までを「ノルマ」と考えた場合、あまりに未達成なノルマが多すぎるんですよね。それでいてネタの1つ1つは結構真面目に作りこんでいて・・・→

私的には最初の掴みは全然オッケー。 だけど「キディ・グレイド」を評価して期待していた人には評判良くないようで、早々に見切ってしまった人もいるみたい。
「ノルマ未達成」感については、数々の隠し玉(アスクール、ク・フィーユ、ディアの出自だとか前作との関連性とか)を引っ張っていることに加え緩急(ユルさ/シリアスさ)切り替えの唐突さも相まって、そう思われても仕方ない部分はあるかな。
でも最近

  • #12「時間の凍りついた空間」で前作との接点を描写
  • #13「バカンス2」でディアがノーブルズの超VIPらしいことがほのめかされる
  • #14「出逢いの刻」でク・フィーユの生い立ちが明かされる
  • #15「悪い夢」でアスクールの出自の秘密が…

と、着実に謎解きは進んでいます。

ルイ >> →それでいて、OPは未完成だと。 まずOPを完成させられるくらいスケジュール的な体力がないと、作りこんだパロディや実験的な演出はしている場合ではないというのに、そちらは結構ちゃんとしている。そして、そちらに時間を割いた分、多くの演出が積み不足になっている。このなんというかな「熱意のアンバランスさ」みたいなものが、特に問題かなと思ってますね。

異議アリ! 原告は本作のOPを不当に貶めようとしています!…なんちゃって。
OPが本編カットのつなぎで構成されているのは、種明かしをしない配慮だと思ってるのですが、どうでしょう? 未完成OPってのは、例えば「戦う司書」の(確か)第4話までのものなんかが該当するのでは?
あれ、最初は「随分地味なOPだけど、これもアリかな…」なんて思っていたら、凄みのある今のOPに差し替えられたので、納得すると共に事情を察してしまいました。

ルイ >> OPの未完成さが本編に侵食していないのが、逆にムカつくんですよねw
ルイ >> 僕の感覚を晒すと、9話10話はアレでいいです。「グレンラガン」みたいなもので。ただ、あの組み方をするなら「ESメンバーである事へのモチベーション」と「先輩への思慕」はもっと積まないと効果が出ないじゃないですか。何故そこを疎かにして、ネタばっかりしっかり作っているのかと。これがきむら構成や後藤監督の狙う「落差」だとしたら、相当わかってねぇなぁと思いますね。

OPの完成度が低いってことになってるー(涙)
「先輩への思慕」をもっと積まないとってのは同じ意見なのですが、ネタに注力しているように見えるのは…「わかってねぇ」んじゃなくて「大人の事情」なのかもよ?

井汲 >> 「しまうま技研」さんは、「キャラが立ってる」ことを評価されてますね。
(中略)
ルイ >> あんだけ2人にしか話数かけてなきゃ、そりゃキャラも立つよ。とるてあ仲間とはいえ、それは認めないw

「天然系のアスクールと、彼女に振り回されるク・フィーユ」のキャラ立ちと役回りは、既に#1でほぼ完成していて、#2で駄目押しした感じ。 そんなに話数かけてないと思うんですが?
まぁ、お互いtrue tearsファンってことで、今後ともよろしくです。