オンデマンドCDで甦る廃盤 − "Sleeping The Town"(2010年3月24日追記)

皆さんには、掛け替えのない大切な曲がありますか?
私にとって表題の曲は、紛れもなくそんな曲のひとつです。 NTTの企業PRCMに採用されながら、人々の記憶に留まることなく消えていった不遇の名曲……ところが25年の歳月を経て、昨年「オンデマンドCD」という形で復刻されました。
今日は、このアルバムとアーティストについてご紹介したいと思います。


SLEEPING THE TOWN

SLEEPING THE TOWN


ほぼ四半世紀前の1986年。 前年の民営化からちょうど1年が経過したNTTは、盛んに企業PRを行っていました。
同年4月〜5月頃には、都会を闊歩する猫を題材にしたTVCMを頻繁に流していましたが、そこで使われていた曲が"Sleeping The Town"です。 画面に曲名は一切表示されず、ただアーティストと思しき"Go OgamiGO OHGAMI"というテロップが映るのみ。 それが大神 剛(おおがみ ごう)というアーティストの曲だということは、数年後にCDを手に入れて初めて知ることになります。


彼は日本コロムビアから2枚のCDアルバムを出した後、CBSソニーへ移籍して更に2枚のCDアルバムをリリースしますが、その後の行方がよく分かりません。 元々彼に関する情報が少ない上にCDも廃盤になってしまい、とても残念に思っていました。
ところが最近になって、日本コロムビア時代のアルバムが「オンデマンドCD」という形で再リリースされていることを知ったのです。 思わず胸が熱くなりました。

これは「注文に応じてCD-Rに焼いてリリース」するもので、販売数があまり見込めないものの再販には打ってつけの販売形態と言えましょう。 CD-Rではありますが、極力オリジナルに近い仕上がりにするそうです。 詳しくは上記サイトのリンク先をご覧下さい。
またHMVサイトでは、全曲試聴が可能です。 たった45秒間ではありますが、各収録曲の雰囲気は伝わるものと思います。


私のイチオシは、やはりアルバムタイトル曲"Sleeping The Town"。(7曲目)
スローテンポのバラードで、歌詞の一節にある通り「疲れた心を癒してくれる」一曲です。
私はこの四半世紀、折に触れ幾度となく繰り返し聴いてきましたが、聴き飽きることがありません。 是非とも全フレーズ通して聴いて戴きたいところです。 45秒では美味しいところまで差し掛からず、とても残念。


5曲目の"Kiss Me Twice"もTVCMに採用された曲。
そのCMというのが、意外なことに(あの即席ラーメンの)「明星チャルメラ」だったのです。 曲と商品のイメージが一致しませんが、CM自体は曲調に合わせた(=ラーメンのCMらしくない)いい感じの映像でした。 試聴版では、CMで使われたサビの部分をほぼ全て聴くことができます。


10曲目の"SAD STORY"は、エフェクトが印象的な曲。 イントロは中域だけ持ち上げたラジオのような音で、後半で音がバァーッと拡がります。 1分17秒の短い曲なので、試聴版には曲の大部分が入っています。
これ、何かのCMで聴いたような気がするのですが、確かなことは今もって分かりません。


先に触れた通り、私はこのオリジナルを持っていますが、この事業の企画者とアーティストに敬意を表して新たに購入したいと思います。




なお、オリジナルには歌詞カードしかついておらず、解説はありませんでした。
もし可能であれば、アーティストのバイオグラフィーや各曲の解説を付けて欲しいところです。(たぶん無理でしょうが)


P.S.
NTTのCMがYouTubeにアップされていると教えて戴きました。
恐らく許認可は得ていないだろうと思われ気が引けるのですが、素晴らしい映像作品なので敢えてご紹介します。

タイトルは「NTT90sCM(猫)」となっていますが、前にも書いた通り、このCMは1986年に放映されていたものです。*1
何で自信を持って断言できるかと申しますと、私も90秒バージョンのCMを録画して持っていますから。
1986年5月19日に放映されたTVA「サンゴ礁伝説 青い海のエルフィ」のED終了直後、このCMが流れたのです。

NTT冠スポンサー枠のスペシャルアニメ番組として放送された。

サンゴ礁伝説 青い海のエルフィ - Wikipedia

当時、新宿駅の通路にNTTの広告としてこの作品のポスターが貼り出されていたのを良く覚えています。

*1:もしかして、90sって90secって意味かも?