キミに伝えたいことがあるんだ。

瑞泉寺

「これは、ジョウハナ線」
祖母の法事に向かう途中、城端線の踏切を渡ったときに、今は亡き父がそう教えてくれました。
「…城花線?」
端(ハシ)と書いてハナと読むのが新鮮だったのに加え、線路の敷石の隙間から伸びた夏草の背丈が異様に高く、当初は廃線だと勘違いしたこともあって、この地名は強く印象に残りました。
五箇山に向かう途中で城端に立ち寄ったのも、確かその時だったと思います。 町並みがあまりに見事だったので急遽庁舎の辺りに車を停め、ロビーに入って観光パンフレットを探したものでした。 確か五箇山世界遺産に登録される前年のことで、じょうはな座はまだなかったと記憶しています。


それから十数年後。 「P.A.Worksというアニメスタジオを一度この目で見てこよう」と向かった先で、庁舎付近の町並みをみて当時の記憶が一気に甦り、アッと声を上げそうになりました。 そこに至るまで、訪ねたことをすっかり忘れていましたから。
「何で憶えていなかったんだ?」と問われれば、それはやはり「遠くてなかなか行けない、縁遠い地」だったからではないかと思います。


そんな城端も、今では年に数回は訪れる、馴染みの町になりました。 これは町並みそのものが持つ魅力に加えて、田中市長の存在に拠るところも大きいと感じています。 アニメという、今でも色眼鏡で見られがちなジャンルと真摯に向き合い、伝統文化との調和を損なわない形で観光誘致に結びつける手腕は、そうそう真似できるものではないでしょう。
ゴールデンウィーク直前から始まった「恋旅」キャンペーンは、その集大成といっても過言ではないと思います。
私も昨日から(城端曳山祭と併せて)参加していますが、アニメは単体作品として十分なりたつレベルのもので、ありがちなPR映像などではありません。
それに加えてオリエンテーリング的な楽しさも味わえますので、これを機会にぜひ富山(そして南砺)を訪れて欲しいと思います。


P.S.
アニメの方は、「true tears」を知っている人なら思わず反応してしまう演出が施されています。 ファンには是非観て欲しい作品です。