カメラにまつわるよもやま話

プロフィールにも書いたが、私の趣味のひとつにカメラがある。
もっとも、写真撮影が好きと言うより「機械としてのカメラが好き」という程度なので、フォトコンテストで入賞するような「よい写真」というものが、今ひとつ分からない。
それでも(いやそれ故に)分不相応な一眼レフ(Canon A-1)で時々風景写真を撮影したりしている。


ちょうどこのカメラを買った頃、学研からCAPAが創刊されたので暫く毎号購入していたが、今でも印象に残っている記事がある。 ソニーが開発した「マビカ(Mavica)」に関するものだ。
ソニーのデジカメというと「サイバーショット」を思い浮かべるかも知れないが、何年か前まではマビカ(Digital Mavica)というラインナップもあった。 それより更に20年ほど昔に、既にソニーは「マビカ」の名を冠した「電子スチルカメラ」を試作していたのである。


当時のマビカは、ビデオカメラで撮影したアナログ信号NTSC信号?)をそのままに近い形で記録・保存するようなものだったと記憶している
画質はせいぜいテレビ並みといったところで、とてもフィルムカメラに取って代わるようなものではなかった。 だからソニーも「こんなものが作れますよ」というデモンストレーションが目的の試作だけで、市販はされなかったと記憶している。(販売されたとの情報もあるようだが)*1


しかし当時のプロカメラマンとか写真評論家といった人たちは、びっくりするぐらい過剰反応していた。 曰く「銀塩カメラは駆逐されてしまうのか?」
将来はともかく、数年で取って代われるような代物でないことは、画質や使い勝手を見れば明らかだ。 しかし写真に詳しい人たちは逆にエレクトロニクスに疎いのか、「全く想像もしていなかったものが登場した」という感じで、少々誇張して言えば「蜂の巣を突いたような」騒ぎになったのである。
(注:これはCAPAしか読んでいなかった私の印象なので、事実とは多少異なるかも知れない)


その騒ぎはあっという間に沈静化し、マビカは忘れ去られ、家電メーカーはビデオの開発に注力するようになる。
デジタルスチルカメラが再び着目されるのはその約10年後、カシオのQV-10がきっかけであった。
当時はホームページが流行り始めており、私などは写真をアップロードするためのデバイスとして、喉から手が出るほど欲しかったものである。
この流れに乗って「マビカ」はデジタル技術によりリファインされ、「デジタルマビカ」として甦ったというわけだ。


そして今日、象徴的な報道があった。

デジタル一眼レフが登場してから、こういう日が遠からず来ることは誰もが予想していただろうが、いざその日が来て見るとやはり感慨深い。


私はと言えば、当分は銀塩カメラを使い続けるであろう。
一時期、EOS20Dが欲しくて堪らない時期があったが、フィルムへのこだわりも(少し)あるし、何より一から全て揃える出費を考えると、下手の横好きでは見合わない、と思ったからである。
キヤノンニコンと違って頻繁にレンズマウントを変更するメーカーだ。 EOSにはFDレンズは使えないため、ボディもレンズも全て買い替えなければならない)


もっともEOS20Dの衝動買いを我慢できたのは、フィルムスキャナを代わりに買ったからでもある。
これで私のA-1も暫くは現役でいられるだろう。

*1:試作から数年後、実際に市販されたようである。 「波多 利朗のFunky Goods」の右記URLを参照されたし。 SONY Still Video Camera MVC-C1iMavicaj