株主の自己責任とは?

株関係の某掲示板で、下記のような主旨の主張をしている人がいる。

  • 自己責任と言うが、不正をしていることを知らずに買わされたのだから、株主に責任はない。
  • 問題のある企業を上場させた東証に責任がある。
  • 粉飾とは知らないで騙された投資家を、国は公的措置で助けないのか?

責任転嫁したい気持ちは分かるが、損しても誰も助けてくれないのが株ってもんだろう。 だから「自己責任」だと言っているのだがねぇ。 以下、思うところをつらつらと。


株価というものは、会社の業績だけでなく、様々な事象の影響を受けるもの。
業績に何も問題がなくても、取引先が不渡りを出して連鎖倒産したり、ある日突然、地震や台風といった天災で操業不能に陥ったりすることだってあり得る。
株取引には、予測もできず誰の責任も問えないリスクが常に存在する、ということだ。
皆、それを承知で取引しているはずなんだがなぁ。


今回の粉飾決算疑惑の場合、責任は確かに経営陣にあり、株主は何も悪くない。
しかし「株主になる」ということは、経営者や他の株主と共に「(限定的な)連帯責任を負う」ことに等しい。 自分が悪くなくても、結果は甘んじて受け入れる以外にない。


さらに言えば、この疑惑は全く予想できなかったかというと、そうでもない。
事業規模に見合わないような買収活動と、結果としての急成長は、常識的に考えておかしかった。
それを「怪しい」と感じ取る嗅覚も持たずに株取引に手を出した方が悪い。
結局、自分の資産を自らの意思(判断)で運用したのだから、結果は自身に帰結して当然だろう。


ただ天災などと違って、株主代表訴訟などで経営陣の責任を問い、補償を求める道は残されているだろう。 もっとも、その費用は「自己負担」することになるのだろうが。


東証に責任を求めるのも筋違い。
「問題のある企業を見抜けなかった東証」を非難しても、そうした「東証の問題点」を見抜けなかったのは自分なんだし。
それに東証も被害者と言える。 はじめから騙すつもりの者は、審査の盲点を巧妙に突いてくる。
最後の砦は、市場での信用。 信用を失えば市場から退場するしかない。 その自浄作用が今まさに働こうとしている。


最後にひとつ。
「公的措置で助けろ」というのは「公的資金を投入しろ」ということでしょうが、儲けが出たら自分のフトコロに入れて、損が出たら税金で補填しろ、というのはムシが良すぎるんじゃありません?