HZ904 A-19(1)

ほぼ1ヶ月も間があいてしまったけれど、1アマ国試の計算問題はまだ2問残ってるので、解答の続きに挑みたい。

受験対策は

を参考書にして始めたのだが、前半の電磁気学はみっちりこなしたものの、後半、特に空中線(アンテナ)や測定は駆け足で済ませてしまった。
しかし、この問題で出てきた電圧反射係数は何処にも載っていなかったので、仮に真面目に読破していたとしても、お手上げだったに違いない。
Wikipediaには下式が記載されていたので、まずこれで問題を解き、続いて公式の導出を試みることにする。
VSWR=\frac{1+\mid{\rho}\mid}{1-\mid{\rho}\mid}

モヤシのような記号ρ(ロー)は電圧反射係数だが、他に文献をあたってみるとΓ(ガンマ)で表すこともあるようだ。
電圧反射係数はインピーダンスなどと同様ベクトル量であり、その大きさ(絶対値)は、複素表現の実部と虚部の二乗和の平方根になる。
即ち、
\begin{eqnarray}VSWR=\frac{1+\mid{\rho}\mid}{1-\mid{\rho}\mid}\\=\frac{1+\sqrt{0.2^2+0.1^2}}{1-\sqrt{0.2^2+0.1^2}}\\=\frac{1+\sqrt{0.04+0.01}}{1-\sqrt{0.04+0.01}}\\=\frac{1+\sqrt{0.05}}{1-\sqrt{0.05}}\end{eqnarray}


ここで、\sqrt{5}=2.2360679\cdotsであるから、


\begin{eqnarray}VSWR=\frac{1+\sqrt{0.05}}{1-\sqrt{0.05}}\\=\frac{1+\sqrt{0.01\cdot5}}{1-\sqrt{0.01\cdot5}}\\=\frac{1+\sqrt{0.1^2\cdot5}}{1-\sqrt{0.1^2\cdot5}}\\=\frac{1+\sqrt{0.1^2}\sqrt{5}}{1-\sqrt{0.1^2}\sqrt{5}}\\=\frac{1+0.1\sqrt{5}}{1-0.1\sqrt{5}}\\=\frac{1+0.1\cdot2.2}{1-0.1\cdot2.2}\\=\frac{1+0.22}{1-0.22}\\=\frac{1.22}{0.78}\\{\simeq}1.6\end{eqnarray}


上記の計算方法では誤差が大きくなるので、より正確な値を求めるなら、\frac{1+\sqrt{0.05}}{1-\sqrt{0.05}}から下式のように式を変形するとよい。


\begin{eqnarray}VSWR=\frac{1+\sqrt{0.05}}{1-\sqrt{0.05}}\\=\frac{(1+\sqrt{0.05})^2}{(1-\sqrt{0.05})(1+\sqrt{0.05})}\\=\frac{1^2+2\sqrt{0.05}+0.05}{1-0.05}\\=\frac{1.05+2\sqrt{0.01\cdot5}}{0.95}\\=\frac{1.05+2\sqrt{0.1^2}\sqrt{5}}{0.95}\\=\frac{1.05+0.2\sqrt{5}}{0.95}\\=\frac{1.05+0.2\cdot2.2}{0.95}\\=\frac{1.05+0.44}{0.95}\\=\frac{1.49}{0.95}\\{\simeq}1.6\end{eqnarray}


よって、どちらにしても解答は選択肢3の1.6ということになる。


結構長くなったので、公式の導出は明日以降に書くエントリで。