Myself;Yourself #10「桜のために」

普段はテレ玉(地デジ)で観ているのだけど、ここのところまた受信状況が悪化したので、今回からtvkのアナログで視聴。 tvkだと、テレ玉より少しオンエアが早いのも嬉しいところ。
エントリを書き始めたら予想外に時間が掛かってしまい、こんな時間にアップする羽目に。


5年ぶりに再会した幼馴染みとの楽しい日々−しかしそれまでの間、彼らの身辺で起きた残酷と言ってよいほどの出来事は、彼/彼女たちの性格や人間関係に暗い陰を落としていて・・・と、本編はそんなお話。
物語の概要と各話のあらすじは、公式サイトの「オンエア」をどうぞ。 ひと目で全体を見渡せる、見やすい構成になっていると思います。

さてこの作品、一見「仲の良い幼馴染みとの楽しい学園生活」を描くと見せて、実は心に傷を負った主人公達の葛藤を主軸に据えた作りになっているところが「深み」と「凄み」を感じさせる、そんな作りになってます。


例えば第1話の、教室で再会した菜々香が佐菜に平手打ちを喰らわせるシーン。
ツンデレ風味のキャラによるありがちな場面と思いきや、回を追うごとに、彼女の中に残る佐菜への思慕や、その身に降りかかった不幸な出来事、そしてその時救いの手を差し伸べてくれなかった彼への(理不尽な)怒りが明らかになってきて、ただ単にパターンをなぞっているだけではないことが分かります。 これが「深み」の部分。


その佐菜にしても実はいっぱいいっぱいで、どうやらリストカット経験がある模様。 そのことを、傷痕をゴツいダイバーズウォッチで隠しているという「仄めかし」で視聴者に悟らせるあたり、傷痕を直接見せるより怖い。
母親に電話で近況連絡しているシーンも、時計が午前2時近くを指しているのが不気味。 常識で考えれば電話なんかする時間じゃないので、ひょっとしたら受話器に向かってひとりで話しかけてるだけなのかも・・・これも結構怖い演出。 こういうところに「凄み」を感じるのですよ。 そういえば「ジョジョ」の第何部だったか、キング・グリムゾン編にもそんなシーンがありましたっけ。


今回は、悩み事とは無縁に思える朱里と修輔の苦悩が主軸のストーリー。
第7話あたりから若月家の家庭事情が徐々に明らかされ始めましたが、財産目当ての後妻がどうのと昼ドラっぽいドロドロさ。 朱里に一方的になじられるだけの後妻に、始めは「もしかして誤解じゃね?」などと少し同情したのですが、今回はAパート冒頭からアバンチュールしちゃって「あーあ」という感じ。 姉弟の仲の良さだけが救いだったのに、それを匿名の密告メールで中傷するとは・・・。 冒頭のシーンで差出人が誰か視聴者には分かってしまうのだけど、これも必要以上に明確には描かないところが、この作品らしさだと思うのです。


そして最後は、心の傷を抱えた老婦人が朱里に斬りかかるというショッキングな展開に。
このおばあさん、普段は温厚なんだけど、事故で亡くなった孫娘のことを思い出すと人が変わってしまうという、これまたゾクッとするような設定。 第7話で佐菜とあさみに頼み事をするのだけれど、それがやはり今回の伏線になっていて、ここでも思わずうなってしまいました。


ラストで姉弟の絆がさらに強まる描写があったけど、一線を超えることはなさそう。 というのも、5pb.関係作品は割と潔癖だから。 「この青空に約束を― 〜ようこそつぐみ寮へ〜」なんて、事実上の女子寮に男子が住んでいて何も起きないという、ある種神話のような物語でしたし。 いやでもこういう潔さは、個人的には好感持てるんですけどね。


この作品、何気に声優陣がゴージャスなのも見どころ。 レギュラーもそうだけど、第9話では予期せぬ強力若本節に悶絶しました。
次回予告のはっちゃけぶりも笑えるけど、さすがに今回はトーンを落としてたなぁ。
この調子でラストまで行ってもらいたいもんです。