重力子、この不可思議なるもの

id:active_galactic氏のブログのコメント欄で質問して、丁寧なご回答を戴きました。 この場にて御礼申し上げます。

ところで、相対論で予言され皆既日食で確認された「重力レンズ効果」、これ、このモデルだとグラビトンと光子が作用しあうことになると思うのですが、この認識は正しいのでしょうか?

素粒子とは何か - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

この質問には、後述する二つの疑問点を確かめる意図がありました。

ゲージ粒子同士は作用しあうのか?

素粒子の種類」に掲載されている表は、物質粒子とそれに作用するゲージ粒子との関係が分かりやすく纏められています。 ゲージ粒子を証券に例えた説明も分かりやすくて有難いですね。

素粒子が他の素粒子に運動量を譲渡することで互いの運動(量)が変化する。このとき運動量やエネルギーの決済に用いられる証券が「ゲージ粒子」だ。

ところが光子も重力子(グラビトン)も同じゲージ粒子なので、これらを単純に"証券"だと思い込んでいると「証券同士が作用しあう」という、現実ではあり得ない結論が導かれてしまいますが、この点をまず確認したかったのです。
実際のところ、ゲージ粒子のひとつであるグルーオン同士も相互作用しあうということなので、やはりこれは例えの限界、ということのようです。

グルーオン自身が色荷を持つため、グルーオンどうしにも相互作用が働く。

グルーオン - Wikipedia

光子は質量ゼロなのに、それでも重力子が作用するのか?

それまで私は単純に、重力子は質量に対して作用するものだと思っていましたが、エネルギーに対して作用するものなんですね。 元エントリにも、確かにそう書いてありました。

グラビトン(重力):星々をつなぎとめる。ドバイと恐竜の敵。未発見。質量(広義にはエネルギー)に対して作用する。

ますます疑問が湧いてきた

重力は相手を区別しません。どのような形態のエネルギーであるかを問わず、誰とでも作用できます。

簡潔にして要領を得た回答、重ねて御礼申し上げます。
ですが、これを読んで掲題の通り、ますます疑問が湧いてきました。
物質に働く重力は質量に比例しますから、その延長線上で考えると、重力子による作用は対象の持つエネルギーに比例すると言えそうです。 ということは、光子が持つエネルギーは振動数に比例するので、紫色光の方が赤色光より重力の影響を受けやすい(=重力によって「より曲がる」)ということになりそうですが…そういうことってあるのでしょうか? あいにく私は、そういう言説を聞いたことがありません。 それに、相対論の説くところ(=重力と加速度は本質的に区別できない)とも異なるでしょう。


それから、ブラックホールにより生じる重力も謎。
光ですらも抜け出せない「事象の地平面」より内側にある物質(?)が、何故その外側にも重力を及ぼせるのか? 重力子は事象の地平面すら飛び越えられるのか?
重力子同士は作用を及ぼさない」と考えれば分からなくはないけれど、そうすると重力子はエネルギーを持たない粒子ってことでOK?…等々。


スピンについても解説して戴きましたが、こちらはやはり謎のままです。 量子力学の重要な概念を数式抜きで理解するには、やはり限界があるのでしょうね。