TVA「バカとテストと召喚獣」で学ぶ高校数学

第3問「食費とデートとスタンガン」に、ちょっと面白いエピソードが出てきます。
食費に窮した主人公・明久が、カップ麺を半分に割って片方を一食分とし、残りをさらに半分に割ってそれを繰り返す…というものでした。
これと全く同じ話を高校時代、NHK教育テレビの数学番組で観たことがあります。

長屋の八っつぁん、何かのはずみで大家のご隠居のご機嫌を取りました。 喜んだご隠居、食べようとしていた豆腐を半分わけてよこします。
これに味をしめた八っつぁん、おべんちゃらを連発し、その度に残った豆腐の半分を貰ってホクホク顔。
「シメシメ…豆腐はどんどん小さくなるが、このままずっと続けてりゃあ、一生喰うにゃ困らない…」
ところがご隠居、八っつぁんの思惑を知ってか知らずか、途中で投げ出してしまいます。 曰く「ええぃ面倒だ、残りも全部くれてやらぁ!」

細かい設定はうろ覚えですが、大体こんな感じの小噺でした。
明久や八っつぁんの考えを数学ちっくに表現すると、こんな感じになりますか。

もちろんこれはトンデモ予想。 元々1のものをいくら細かく分割しても、それらを全て足し合わせれば元の1になるわけで。


前述の式のように一定の比率で変化する数字の列を等比数列と呼び、その総和の公式は以下の考え方で求めることができます。

番組を観た後の春休み、この公式を独力で発見した私は有頂天になりました。 今風に言えば「オレって凄くね?」ってなもんです。
しかしその休み中、進級に備えて予習をしようと数学の教科書を開いたところ、のっけからこの式が出てきてかなりガッカリしましたね。
ガウスのような大数学者になれるかも知れないと思った、夢見がちな高1の春…。


話を戻しましょう。 明久や八っつぁんの誤りは、上記公式の初項と公比に1/2、項数に∞を代入すれば確認できます。
なお高校レベルでは、1/∞が0であることは自明として深く立ち入りませんが、そのあたりを厳密に扱う「イプシロン-デルタ論法」なるものが存在します。