true tears 第11話「あなたが好きなのは私じゃない」

前回がドラマティックだったものだから、相対的に地味に感じてしまう回ではある。


一人暮らしを始めた比呂美は、早速自室に眞一郎をご招待。 他所の家にあがる時は、脱いだ靴をきちんと揃えようね > 眞一郎君
お茶だけじゃなく食事(パン&ベーコンエッグ)まで出すあたり、二人はまるで同棲しているようだ。 赤いメガネは、心機一転した比呂美を印象付けるアイテムか? 雪に対するアンビバレントな感情も消え去って、雪の海を見ようと部屋を飛び出していく。
海辺を比呂美と歩く眞一郎の脳裏には、乃絵の記憶がフラッシュバック。 それが比呂美の言葉を遮る形になる音響演出は、乃絵に対する彼の後ろめたさを巧く表現できていると思う。 そんな眞一郎の迷いを吹き飛ばすかのように、あっさりと…実にあっさりと口付けする比呂美。 これには「全部ちゃんとするから」という彼の言葉を信じて待っている、そんな想いが込められていそうだ。


一方、三代吉には「始めからやり直そう」という愛子からの電話が入る。 三代吉の好意が愛子にとって重荷だったことを考えると、この突然の心境の変化は少々納得行かないところ。 これは制作サイドも認識してると思うよ、プロなんだから。 多分、全13話という制約の中では、テーマに絡まない枝葉の部分はバッサリ落とすしかなかったのだろう。 眞一郎の母の改心プロセス描写が不十分だったのも、恐らく同じ理由だと思う。


乃絵と接する機会がなく、何も/誰にもちゃんとしてない眞一郎。 そんな彼の描く「雷轟丸とじべたの物語」は、予想外の結末に。 「じべた」は明らかに比呂美のメタファーだけに、何だか嫌な予感もチラホラ。
眞一郎が蛍川との交流戦を話題にした途端、比呂美の表情が険しくなったのは、恐らく純との関係を清算しようという決意の表れ。 「私もちゃんとするから、あなたもちゃんとして」…そんな思いが「眞一郎君は、麦端踊り頑張って」という言葉に滲んでいるように思う。
実際、純と会った比呂美は彼の愛撫にもう動じることなく、逆に強烈なカウンターを与えるのだが、それがサブタイトルのセリフ。 純、フリーズで一回休み。(笑)


そんな純にさらに追い討ちをかけるように、乃絵が失踪してしまう。 それは比呂美を通して眞一郎にも伝えられるが、眞一郎への連絡を躊躇したのは、やはり「眞一郎の中の乃絵」が気になったからだろう。 彼の描く絵本の題名を口走ったのも、それが乃絵に捧げられたものだと思っているから、と考えれば納得がいく。


当の乃絵は、鶏小屋で「じべた」に語りかけている。 「私が跳ばせてあげる」という言葉に、乃絵の決意をみた。