ゼロスポーツの無念

今日、とても残念なニュースがありました。

日本郵政グループから電気自動車(EV)を受注していたEVベンチャー、ゼロスポーツ(岐阜県各務原市)が、破産申請の準備を始めたことが1日、同社関係者の話で明らかになった。負債総額は数十億円とみられる。


ゼロスポーツは昨年、郵政グループの郵便事業会社と、郵便集配用のEVを約千台納入する契約を結び、話題になった。


ただ、郵便事業会社はEVの納期が守られなかったとして契約を解除。違約金も求めたという。


ゼロスポーツは1998年から電気自動車の事業に参入している。

http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011030101000573.html


EVベンチャーと紹介されていますが、同社は元々、主にスバル車用のチューニングパーツ開発を手掛けていて、スバリストには名の通った存在でした。 またEV改造事業には早い時期から乗り出していて実績もあり、決してポッと出の胡散臭い会社ではないのです。
EV改造も手掛けたのは無論、これから成長が期待できる分野だと考えたからでしょうが、一般的にはあまりよく思われない「自動車改造」のイメージ向上も狙っていたのかも知れません。
一時「無理な受注をしたのではないか?」という噂もありましたが、自動車関連ニュースサイト「レスポンス」が詳細を伝えています。

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昨年8月の日本郵便からの発注1030台はスバル『サンバー』をベースに、集配用途に合うように現場の声を反映させた言わば日本郵便とゼロスポーツの共同開発のEVだった。
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ところが9月、スバルは2011年度いっぱいでベース車両となっているサンバーの生産を停止し、ダイハツ車両のOEMに切り替える方針が判明する。
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ダイハツハイゼット』はフロントエンジンのためEV改造による荷室スペース減少がない。またゼロスポーツにしても将来の車両変更による開発のやり直しを考えると、サンバーをあきらめてハイゼットベースでの1030台納品に傾いた。両者の思惑が一致し、ベース車両の変更と開発期間延長のため2011年1月と2月納品の次年度繰越に合意した。
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しかし、日本郵便側で異変が起こる。契約変更の手続きをすすめるうちに重大なミスを発見したのだ。
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日本郵便ベンチャー企業のために危ない橋を渡ることを避け、ゼロスポーツに対してベース車両の変更と30台の納品の繰越を認めないという通知をしたのが1月18日。それは1月納品期限である21日のわずか3日前であった。
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ゼロスポーツは、はしごを外されたハイゼットベースの車両開発も虚しく、大口契約を背景に集めた運転資金は口座ごと凍結され破産に至る。
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破産ゼロスポーツが郵便EVを納品できなかった本当の理由 | レスポンス(Response.jp)


これが事実なら、裁判沙汰になっていてもおかしくない話です。 一旦は納期延長に合意しておきながら、直前になって「延長は認めない」というのは余りに酷い仕打ち。 道半ばにして命脈を絶たれた中島社長の無念は、察するに余りあります。 ゼロスポーツが破産という道を選んだのは、契約解除のうえ違約金まで請求してきた日本郵便への、ささやかな抵抗だったのかも知れません。