エレクトロニクスライフの思い出

NHK技研で思い出したことがある。
昔、NHK出版から「エレクトロニクスライフ」という雑誌が刊行されていた。
NHK技術研究所所長が監修していたもので、初めて書店で手に取った時、見た事もない業務用放送機器が掲載されていたりして、とても興奮したものだ。
特にトリンブル・ジャパン(現ニコン・トリンブル)の関係者が執筆していたGPS情報は圧巻で、このコラムから

・・・等々、多くの事柄を学んだ。 この記事が気に入って、暫く定期購読していたくらいである。


しかし、あるとき摩訶不思議な記事が掲載された。 アインシュタイン相対性理論が間違っている、と主張する内容のものである。
その記事の内容が、寄稿者自身が開設しているホームページに掲載されているので、一応リンクを張っておく。

この人は、相対論における座標系について根本的に思い違いをしているようだが、それ以外にもこんな誤謬を犯している。
(「ローレンツ変換ガリレー変換について:c-V\cos\thetaについて」より)

 どうか今一度、「アインシュタインの浦島太郎効果」とか、「ローレンツ収縮」とか、「時間と空間がゆがんでいる」などという結論を、先人達の得た正統的な物理学に照らし合わせて考えてみてください。
「数学で示されているから正しいのだ。実験でも確認されているのだ。」という前に、“本当に”そういうことがあるのか、と。

「仮説を理論と実験で検証する」というのが近代科学の精神でしょう。
相対論が矛盾なく説明できている物理現象を、相対論を否定する窪田氏の理論が破綻なく説明できるのだろうか。
数学や実験結果を信用するなと言うなら、氏の数式や思考実験も同じように信用できないのではないか。
氏の主張については、以下のような考察や反論があることも示しておこう。

とにかくこの記事を皮切りに、同誌には疑似科学と見なされる記事が何度か掲載されてしまう。
「Nマシン」というのを今でも覚えているが、これはいわゆる「永久機関」。
NHK技研所長が監修しながら(実際は名義貸しなのだろうが)、何でこんな記事が次々と掲載されてしまったのか・・・。


これが直接の理由かどうかは知らないが、その後「エレクトロニクスライフ」は誌名を「パソコンライフ」と改め、内容も刷新された。
その後、廃刊になったらしいと聞いたが、詳しいことは分からない。
惜しい雑誌をなくしたものだ・・・。