HZ904 A-9

抵抗(レジスタンス)とは、"電気(電流)の流れにくさ"を示す量で、オームの法則から
R=\frac{E}{I}
と表せる。 単位はΩ(ohm:オーム)。 数値が大きいほど電流が流れにくいことを表す。
コンダクタンスは抵抗の逆数で、以下のような関係がある。
G=\frac{1}{R}=\frac{I}{E}
単位はS(ジーメンス)。 だけど、筆者の学生時代はΩの逆数だからと、その天地をひっくり返した記号を教わった。 その読み方も、ohmを逆から読んで"mho"(モー)。 初めて聞いた時は冗談かと思ったよ。

FETはトランジスタの一種だけれど、動作原理は全然違う。 トランジスタが入力電流で出力電流を制御するのに対し、FETは真空管のように、入力電圧で出力電流を制御する。
電圧制御型素子であるため、入力電流は必要ない。 このためFETの入力抵抗(インピーダンス)は極めて高く、種類にもよるが10^{15}[Ω]に達するものもある。 SI接頭辞を使って表せば1[PΩ]ということになるが、抵抗値の表現に用いられるのはせいぜい[MΩ]までで、それ以上は実質上絶縁体({\infty}[Ω])と見なせるため、G(ギガ)以上の接頭辞が用いられることはまずない。
とにかく入力抵抗がとてつもなく高いので、入力側からはオープン(開放端)になっているように見える。 等価回路の入力側がオープンなのは、つまりそういうことなのだ。


ところで、FETの特性を表す指標のひとつに相互コンダクタンスg_mというものがあるが、これは入力電圧の変化量{\Delta}V_{GS}と出力電流の変化量{\Delta}I_Dの比で表される。
g_m=\frac{{\Delta}I_D}{{\Delta}V_{GS}}
見ての通り「電流を電圧で割ったもの」という点でコンダクタンスとディメンションは同じであり、単位も同じくS(ジーメンス)だ。 ただこれは能動素子の入出力変化分に関する特性なので、前述の通り相互コンダクタンスと呼んで通常のコンダクタンスとは区別している。


さて問題では、V_{gs}を入力交流電圧、V_{ds}を出力交流電圧としているが、これは交流電圧の変化分、即ち{\Delta}V_{GS}, {\Delta}V_{DS}のことに他ならない。
なので、これに倣って{\Delta}I_DI_dとすると、以下の関係式が成り立つ。
\array{g_m=\frac{I_d}{V_{gs}}\\{\therefore}I_d=g_mV_{gs}}
実際にはこんな計算しなくても、図中の電流源にちゃんとg_mV_{gs}って書いてあるorz...
で、V_{ds}I_d,r_d,R_Lから求めることができる。
まず、FETのドレイン抵抗r_dと負荷抵抗R_Lは、電流源から見ると並列に接続されているので、その合成抵抗Rは下式で求まる。
\array{R=\frac{1}{\frac{1}{r_d}+\frac{1}{R_L}}\\{\therefore}R=\frac{r_dR_L}{r_d+R_L}
これより、V_{ds}オームの法則から、以下のように求まる。
\array{V_{ds}=I_d\cdot\frac{r_dR_L}{r_d+R_L}\\{\therefore}V_{ds}=g_mV_{gs}\cdot\frac{r_dR_L}{r_d+R_L}}
よって、電圧増幅度は下式の通りとなる。
\frac{V_{ds}}{V_gs}=g_m\cdot\frac{r_dR_L}{r_d+R_L}
これに題意の数値を代入すると、電圧増幅度を求めることが出来る。
\begin{eqnarray}\frac{V_{ds}}{V_{gs}}=8\times10^{-3}\cdot\frac{20\times10^3\cdot5\times10^3}{20\times10^3+5\times10^3}\\=8\times10^{-3}\cdot\frac{100\times10^6}{25\times10^3}\\=8\times10^{-3}\cdot4\times10^3\\=32\end{eqnarray}
よって答えは、選択肢2の32。


・・・「ぼくらの」の感想は、今日はもう書けません・・・。